科目を横断する

2020年のセンター試験廃止後の問題ですが、中教審が公言しているところでは、科目を分けず統合させた問題を重視するそうです。

国語の問題なのだけれど、数学的な論理的問題。長文を読む中での物理現象の問題。地理の商業の発展を、経済の視点から統計で解析するetc

この根幹にあるものも、やはり思考力を試す問題です。こう、複合的に問題を出されてしまうと、科目の組み合わせ方で問題のパターンが爆発的に増えますから、暗記では対応できないのです。

基本的な知識をしっかりと頭の中に理解して落とし込み、考えることで解く必要があるのです。名門大学などは、昔からこうした問題を出題してきました。私立の名門校でも、暗記で対応できていたのですが、そうはいかなくなりそうです。こうした暗記問題を出して来た大学のほとんどが、こうした中教審の傾向に賛同しているからです。

自分で考える子供に育つ方法

科学では思考とは何か大体解ってきています。それによると、

1、ものごとを見るなり聞くなりして、情報を受け取る

2、受け取った情報と似たことを、記憶と照らし合わせる

3、照らし合わせながら、それがどういったものか、評価する。

4、あぁじゃない、こぅじゃないと評価した結果、結論付ける。

の4つのステージで分けて考えるそうです。この、3、4が「考える」「思考」と言われているものです。

なんでもそうかもしれませんが、使っていれば熟練しますが、使わなければ廃れます。考える習慣を持つということがとても重要なのです。

しかし、いわゆるドリル形式の算数問題や、漢字をひたすら書いて覚える漢字暗記は上のプロセスの1,2しか行われていないと解っています。答えや解き方を反復させるだけですから。

これを、考える過程で計算を使う、漢字の仕組みや意味を理解し沢山の使われ方に触れる、というふうに学ぶだけで3、4のプロセスをクリアーします。また、ちょっとやそっとでは解けない、理解できない問題を与えるのです。答えを与えずそれに取り組ませるのです。そうやってうんうん考えるのが、訓練になっているのです。

習慣を変えるだけで、考える能力が身についている成績が高い人物になることができます。そんな人は、きっとどんな社会でも生き抜いていく力を持つことが出来ると考えてこられたのです。これは古今東西変わらない真実のようです。

若ければ若いほど、考える習慣を身につけるのは容易です。身につければ、勉強が楽しいといって、ほうっておいても高い成績になるでしょう。

やりたくないことから逃げる生き物

心理学、認知科学で脳でも確認された創造的回避(critical avoidance)という心理行動があります。やりたくないこと、苦痛なこと、恐怖、嫌なことから人間はどんなことをしてでも避けようと本能的に行動します。その際、すごい巧妙な言い訳や、なんらかの事情を生み出すことで回避します。例えば学校に行きたくないから仮病をする。しかもかなりすごい対策をして、みたいなものです。

勉強は『勉めて』『強いる』と書きます。どんだけ強制させんだよって感じの言葉ですが、強制的・抑圧的なものを人間は苦痛に感じます。『やらなければならないから勉強をする』というのは、『やりたいから数学をやる、本を読む』といって学習することに、どうしたって敵いません。やりたいという気持ちは、統計でも確認されているように、かなり生産的なのです。勉強したいと成らない限り、学生の生産性や学習効率は上がらないのです。

すぐに答えを求める癖

新規の生徒さんなどを指導していた時、解けない問題に遭遇すると答えを教えてもらるまで待っていたり、「答えは?」「何+何=は何?」といった感じで答えを聞いてくる子が居ます。そういう時は絶対に答えも解き方も教えないで、自ら取り組むようにさせます。すると大体解けるのですが。

これが高校生になると、試験に取り組むとなると答えと解き方を暗記するということがすっかり習慣になります。最悪勉強にすら取り組まなくなりますが、良くて解き方を先生から教えてもらって、それを覚えていざ受験となります。勿論、解ける問題は解き方と答えが解るものだけです。考えなくては解けない問題は解けません。

今までは、それが偏差値60の名門校でさえ、上記の方法を完璧にすれば受かっていたのですが、残念ながら2020年からはそうはいきません。現在の中学一年生以下は全員、考えなければ解けない問題に取り組んでいかなくてはならなくなるからです。

もっと言えば、大学でさえ考えずに過ごし、終いに就活の時でさえ大学のサポートセンターに付きっきりで「面接の仕方」を覚えていざ就活という学生は山ほど居ます。彼らは大学を教科書を写してレポート、試験に挑み単位を貰うのです。偏差値60の名門校でさえ、そういう授業が珍しくありません。

極端な話になっていますが、本当に珍しくない話なのです。

3-5才から優れた知能を育てる一つの方法

http://www.afpbb.com/articles/-/3018720

↑アメリカ小児科学会の研究論文のニュースが大変参考になりました。

3-5歳読み聞かせをすると、言葉を使ったりイメージを想起する脳部位が発達することが解ったそうです。

研究によると、読み聞かせることで、成人が本を読む時と同じように、文字を読んでイメージを想起する脳部分が動いていることが解りました。

実験では機械が音をただ発して読む場合と、人が読み上げる場合に分けて行ったそうです。それで、機械では全く脳が動かなかったのですが、人が読んで聞かせるとバリバリ動いたそうです。

で、読み聞かせしている子と、していない子で、小学校教育が開始すると明らかな差が生まれるそうです。アメリカですが、富裕層でさえほとんどやっていないこの習慣。今後は読み聞かせの取り組みを重要視していくそうです。

ただ、こういった機能は成人からでも、いくらでも伸びるものだとも解っていますから、訓練次第でいくらでも伸ばせますから安心してください。もちろん、小学生中学生からの訓練方法も沢山あります。

文字を読むことが出来ない幼児が、どうやったら言語能力が伸びるかと解った研究なのでした。

 

考える問題/算数オリンピック

今日は算数オリンピックの問題を解きました。

算数オリンピックと言うと何だか難しい問題を思い浮かべますが、考えれば解ける安心して取り組める問題も多くあります。逆に言うと、考えなければ解けない問題しかありません。知識の点では小学生なら直ぐに取り組める良心的なものが多く、大学生や社会人でもすんなり解ける問題はありません。小学生の方が早く解いてしまった、なんてことは珍しくありません。

今日の生徒さんやってみたい!と自ら取り組みました。残念ながら解けませんでしたが、自尊心を育むことをしっかりすれば、むしろ挑戦欲が出て、持ち帰ってまで解こうとします。実際、その子は問題を書き写して持ち帰りました。

問題から逃げず、考え続け、勉強する習慣というのは、こうした好奇心と高い自尊心から来るものというのを日々、再確認します。たとえ日数がかかっても、今日は解けなくても、挑み続けることで算数オリンピックの問題も解けるようになります。こうした力が今の小学生が大学受験になるときに求められます。